アゼルバイジャンの日本語ガイド手配:お約束できることと、できないこと
解説 · 読了 9 分
当社(Birtour)は、日本語を話すガイドと一緒に仕事をしています。日本語でのご案内をどのように手配するのか、なぜこの国で日本語ガイドが少ないのか、なぜ人数や料金を公表せずご予約ごとに確認しているのか、アゼルバイジャンのガイド資格制度が何を示し何を示さないのか、そしてご希望の日程で手配できないときに何をするのかを、バクーの現地手配会社としてご説明します。

Photo: AlixSaz, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
当社(Birtour)は、アゼルバイジャンのバクー(Bakı)に拠点を置く現地手配会社で、日本語を話すガイドと一緒に仕事をしています。条件なしで申し上げられるのはこの一文だけですので、このページの残りはその条件についての説明です。日本語でのご案内をどう手配するのか、なぜこの国では日本語ガイドの数がそもそも少ないのか、なぜ枠を確保しておくのではなくご予約ごとに確認するのか、何を公表しないのか、そしてご希望の日程でお受けできないときに何をするのかを順にご説明します。
このページを作ったのは、日本の旅行会社様から直接このご質問をいただいたからです。そして『VIVANT』シーズン2の放送によって、同じご質問をいただく機会がこれから増えると考えているからです。
なぜアゼルバイジャンでは日本語ガイドが少ないのか
市場の規模が数字で確かめられるほど小さいからです。国家統計委員会の国別統計によれば、2025年に日本からアゼルバイジャンに入国された方は4,802人、そのうち観光目的は4,182人でした。人口のより少ない韓国が2024年に15,004人、ロシアは60万人を超えています。年間4,800人ほどの市場に対して、一つの言語の人員を常時抱えられる会社はありません。
この数字は、このページにいただくご質問の大半に対する率直な答えでもあります。言い訳ではなく、市場の形の説明です。アゼルバイジャンの日本語対応はフリーランスの体制で、担い手は少数の個人であり、実際に行われている日本語での案内のかなりの部分は、バクー側ではなく日本の送客側から供給されています。
同じ制約は他社の商品にも表れています。コーカサスを扱う日本の旅行会社であるジェーアイシー旅行センターは、バクー市内一日観光のオプション案内に、ガイドは日本語または英語になること、日本語ガイドの確約をご希望の場合は別途お問い合わせいただきたいことを、自社のページに明記しています。日本の会社が東京から販売していても確約はできない、ということです。控えめに書く理由のない側が書いた一文として、市場の状況をよく表しています。
ここから二つのことが出てきます。日本語ガイドをいくらでも手配できると説明する業者は、実在しない市場を説明しています。そして、うまくいく日本語催行と空港でお詫びを申し上げる催行の差は、作業の順番にあります。
当社のガイドは何語で案内していますか
団体のご案内は、英語、ロシア語、アラビア語、ヒンディー語、ドイツ語のほか、ご要望に応じてほかの言語でも行っています。これらの言語は日常的な体制の中にあり、車両をご手配になるのとほぼ同じ感覚でご指定いただけます。仕組みはバクーでの団体・MICE現地手配のご案内(英語)にまとめています。
日本語はこの体制の中には入っていません。ご予約ごとに個別に手配しており、仕組みそのものが違います。英語ガイドと同じ感覚で日本語の催行を組み立てられる前に、次の二つの項目をお読みいただければと思います。
手配はどのような流れになりますか
日程、行程、ご参加人数をお知らせください。その日程で実際に動けるガイドがいるかどうかを確認し、ガイドをご案内するか、お受けできない旨と手配できる近い日程をお返事します。先にご予約をお受けしてからガイドを探すことはいたしません。日本語の場合、その順番で進めると、空港でお詫びを申し上げることになりかねないからです。
ご確定の前に、担当するガイドの氏名と、これまでどのようなご案内をしてきたかをお伝えします。ご出発前にお客様ご自身が日本語で打ち合わせをなさりたい場合は、直接おつなぎします。日本の旅行会社様にとっては、この打ち合わせのほうが、当社がこのページに書けるどのような説明よりも確かな判断材料になるはずです。
アゼルバイジャンにガイドの資格制度はありますか
制度はあり、そして任意です。この国でガイドとして働くのに免許は要りません。アゼルバイジャン観光局がAZS ISO/IEC 17024:2024の認定を受けたガイド認証機関を運営しており、審査はAZS 730:2012に基づいて行われます。申請者は、案内する外国語ごとの語学能力証明書に加えて、実務経歴の書類、医療機関の証明書、経歴書を提出します。
制度自体は実体のあるもので、実務上の効用も一つあります。有資格ガイドは国立および市立の博物館、美術館、保護区に無料で入場できますので、入場料の明細が一行減ります。
ただし、御社のご質問に答えられる制度ではありません。認証機関は言語別の内訳を公表しておらず、絞り込める登録簿もありませんので、この国に日本語の語学証明を持つ有資格ガイドが何名いるのかを示す公的な数字は存在しません。「日本語対応の有資格ガイドは何名いますか」というご質問は、制度そのものが答えられない問いで、それに自信をもって数字を返す業者は、その数字を作っています。
当社はこれをウェブページで解決しようとは考えていません。ご予約ごとに担当者の氏名と経歴をお伝えし、ご希望があればご出発前にお話しいただく場を設けます。
ガイドは日本語のネイティブスピーカーですか
全員が日本語母語話者です、とは申し上げません。ここは正直に書いたほうが、お互いのためになると考えています。お伝えできるのは、ご予約ごとに担当するガイド本人のことです。日本語での経験、どのような行程を担当してきたか、そして必要であればご出発前の打ち合わせの機会です。文章での保証よりも、実際に話していただくほうが確かです。
料金を公表していない理由
このページに1日あたりの料金は掲載していません。ガイド料金は、宿泊、送迎、入場料と並ぶ1日単位の項目として、言語ごとにネットレートのお見積りに記載します。この形式についてはネットレートとB2B料金のご案内(英語)にまとめています。日本語の項目は、ご予約ごとのお見積りとしています。
人数を公表しない理由と同じです。公開のページに料金を掲げると、その料金でいつでも手配できる体制が背後にあるという意味になります。バクーの英語ガイドであればその通りです。日本語については違いますので、あとから訂正するよりも、お見積りでお答えする形をとっています。
どのくらい前にご相談いただければよいですか
日程を確定される前にご相談ください。何日前まで、という数字はこのページには書きません。制約は日数ではなくカレンダーだからです。10月に一週間空いていることは、5月の同じ週について何も意味しません。
そのカレンダーを押しているものが二つあります。一つは、TBS日曜劇場『VIVANT』シーズン2が2026年7月26日に放送を開始し、通常の1クールではなく2クール連続放送と発表されていることです。数週間ではなく数か月にわたって、毎週日曜にアゼルバイジャンが日本のテレビに映ることになります。なお、劇場版については2025年2月に週刊誌が「予定されている」と報じた一件があるだけで、TBSからの発表はありません。放送局が取材に応じなかった報道を前提に、当社が体制を組むことはしません。もう一つは、阪急交通社が販売しているアゼルバイジャン6日間のツアー(コースET391T)で、2026年11月30日から全11回、羽田発でイスタンブール経由、2名1室利用でお一人様279,000円から379,000円という設定です。出発日が11回に固定されているということは、日本語での需要がその11の時期に集まるということでもあります。その前後に手配されるご旅行は、同じ日程を取り合うことになります。
三つ目の時期にも触れておきます。まだ他社の出発設定には出てきていませんが、2026年のシルバーウィークは9月19日から23日で、日本では2015年以来の9月の5連休です。9月のバクーは平均22.4℃、雨天は月2日ほどで、この時期であればガイドのご相談も11月よりは通りやすくなります。月ごとの気候は日本の方向けのアゼルバイジャンの季節のご案内にまとめています。
なお、バクーは日本より5時間遅れています(GMT+4)。日本の午前中にお送りいただいたお問い合わせは、当社の始業前に届き、その日のうちにお返事できます。
ご希望の日程で日本語ガイドが手配できない場合
ご予約の前にお伝えします。そのうえで、ご相談できることが三つあります。いずれも第一の選択肢の代わりになるものではありません。
一つ目は、日程をずらすことです。出発日が固定されていないご旅行であれば、数日動かすだけで解決することがよくあります。当社から、空いている日をお知らせします。
二つ目は、英語でのご案内に、お客様側の添乗員の方が通訳として入る形です。日本の団体旅行では珍しくない形かと思います。添乗員の方が同行される旅行会社様には現実的な選択肢ですが、お二人だけのご旅行には向きません。
三つ目は、行程を分けることです。滞在の一部だけ日本語を話すガイドが動ける場合は、どの日が可能かをお伝えします。そのうえで、言語が最も効いてくる日に充てることをおすすめします。空港送迎ではなくシェキ(Şəki)での一日、移動時間ではなく見学の時間です。
おすすめしないこと
英語では通用し、日本語では通用しない進め方が三つあります。契約の段階で気づかれるより、いま申し上げておきます。
ガイドの確認より先に航空座席を確定されることは、おすすめしません。英語の行程ではガイドが団体に合わせて動きますが、日本語の行程では希少なのはガイドの側で、航空座席ではありません。まずガイドについてのお返事を取り、そのうえで座席をお押さえください。
日本語で動ける一日を空港送迎や長距離移動に充てることも、おすすめしません。ガイドが滞在の一部しか動けない場合、日本語が費用に見合うのはシェキ、旧市街、そして博物館での時間で、高速道路の上ではほとんど価値になりません。御社の行程についてはどの日がそれに当たるかを、お尋ねいただく前に当社からお伝えします。
そして、業者から示された人数を、数え方を確認せずにお受け取りにならないでください。この国では誰も人数を公表しておらず、国の認証制度も登録簿を言語別に分けていません。根拠の示されない数字は、実務の数字ではなく営業の数字です。
このページで申し上げないこと
日本語を話すガイドが何名いるのか、社員なのか契約なのか、同時に何組までお受けできるのかは公表していません。日本の旅行会社様がその数字を知りたいことは承知しています。ご希望の日程で守れるとは限らない数字を掲げるよりも、お問い合わせに正直にお答えするほうが役に立つと考えています。
資格についても、ここでは何も掲げません。アゼルバイジャンでは旅行業が許可制の業種から外れており、許可や登録の有無が、日本の取引先が期待されるほどの意味を持ちません。何を確認すべきかはアゼルバイジャンの現地手配会社の選び方(英語)に書いています。また、当社はTBS及び『VIVANT』のツアーを販売している旅行会社各社を代弁する立場にはありません。
免責事項
当社(Birtour)はTBS及び番組制作委員会とは一切関係がなく、『VIVANT』のパッケージツアーを販売している旅行会社各社とも関係がありません。バクーに拠点を置くアゼルバイジャンの現地手配会社です。このページは、当社が日本語でのご案内をどのように手配しているかを説明したものです。
パッケージの仕入れではなく現地手配としてお考えの旅行会社様へ。日本の旅行会社様とのお取引の実務はアゼルバイジャンの現地手配(ランドオペレーター)のページに、ロケ地と場所どうしの距離は『VIVANT』ロケ地のページに、シェキの街道の先にある建物についてはシェキ・キャラバンサライのページにまとめています。お取引の条件についてはアゼルバイジャンの現地手配サービス(英語)をご覧ください。
- アゼルバイジャンで日本語を話すガイドを手配できますか。
- はい。当社は日本語を話すガイドと一緒に仕事をしています。ただし、あらかじめ人数枠をお約束するのではなく、ご予約ごとにその日程で動けるかどうかを確認しています。日程と行程、ご参加人数をお知らせいただければ、お受けできるかどうかをお返事いたします。
- 日本語ガイドは何名いますか。
- 人数は公表しておりません。数字を出さないことを、はっきり申し上げます。ご予約にとって意味があるのは、ご希望の日程で日本語を話すガイドが動けるかどうかという一点で、それはお問い合わせごとにお答えしています。アゼルバイジャンで日本語ガイドがいくらでも手配できるという説明は、実際の市場とは異なります。
- なぜアゼルバイジャンでは日本語ガイドが少ないのですか。
- 市場の規模が数字で確かめられるほど小さいためです。国家統計委員会の国別統計では、2025年に日本からアゼルバイジャンに入国された方は4,802人、うち観光目的は4,182人でした。人口のより少ない韓国が2024年に15,004人、ロシアは60万人を超えています。年間4,800人ほどの市場に対して日本語のガイドを常時雇用できる会社はなく、この国の日本語対応は少数の個人によるフリーランスの体制になっています。
- アゼルバイジャンのガイドには資格制度がありますか。役に立ちますか。
- 制度はありますが任意です。アゼルバイジャン観光局がAZS ISO/IEC 17024:2024の認定を受けたガイド認証機関を運営しており、申請者は案内する外国語ごとに語学能力を証明する書類を提出します。ただし言語別の内訳も検索できる登録簿も公表されていないため、日本語で案内できる有資格者が何名いるかは、この制度からは分かりません。制度ではなく、担当する個人についてお尋ねください。
- ガイドは日本語のネイティブスピーカーですか。
- 全員が日本語母語話者ですとは申し上げません。ご予約ごとに、担当するガイド本人の経歴をお伝えします。ご出発前に日本語で直接お話しいただくこともできますので、そのうえでご判断ください。
- 日本語ガイドの1日あたりの料金はいくらですか。
- このページに料金は掲載していません。ガイド料金は、宿泊、車両、入場料と並ぶ1日単位の項目として、言語ごとにネットレートのお見積りに記載しています。日本語の項目はご予約ごとの見積りとしており、日程とご参加人数をお知らせいただければ、ほかの費用とあわせてお出しします。
- どのくらい前に相談すればよいですか。
- 日程を確定される前にご相談ください。何日前までという数字は申し上げません。制約は日数ではなくカレンダーだからです。10月に空きがあることは、5月の同じ週について何も意味しません。阪急交通社が販売している6日間のツアーは2026年11月30日から全11回の設定で、日本語での需要はその前後に集中します。