ナヒチェバン:外国人旅行者がほとんど訪れない飛び地への行き方
Nakhchivan · 本土からの陸路はありません。バクーからの国内線で約1時間15分 from Baku
ナヒチェバン(Naxçıvan。ナヒチェヴァンとも表記)は、アルメニア領によって本土から切り離されたアゼルバイジャンの自治共和国で、トルコ、イラン、アルメニアと国境を接します。本土からの陸路がないため、実質的な行き方はバクーからの国内線のみで、飛行時間は約1時間15分です。市内には1186年完成の十角形のモミネ・ハトゥン廟、18世紀のハーン宮殿、修復された城塞ナヒチェバン・ガラがあり、12km離れたドゥズダグには紀元前2千年紀から採掘が続く岩塩坑と、1979年以降その坑道に設けられた呼吸器疾患の療養施設があります。
- Region
- Nakhchivan
- From Baku
- 本土からの陸路はありません。バクーからの国内線で約1時間15分
- Status
- UNESCO Tentative List
- Best season
- 4月から6月、9月から10月。夏は非常に暑く、冬は寒く乾燥します
- Time to spend
- 市内とドゥズダグをゆっくり回るには2泊
- Entry
- Free
- 『VIVANT』シーズン2の撮影がおこなわれた8地域のひとつ
- モミネ・ハトゥン廟。アジャミ・ナヒチェヴァニによる1186年の十角形の煉瓦塔
- 標高1,173mのドゥズダグ岩塩坑。紀元前2千年紀から採掘が続き、使われなくなった坑道は療養施設になっています
- ナヒチェバン・ハーン宮殿。18世紀のハーンの居館
- アラス川の谷を見下ろす修復された城塞ナヒチェバン・ガラ
- 独自の方言、建築、料理をもつ飛び地。海外の行程表からはほぼ例外なく外れています
ナヒチェバンは、多くの行程表が黙って外している場所です。理由は見どころの不足ではなく、地理です。飛び地なのです。本土とのあいだにアルメニア領があるため、二つを結ぶ道路がありません。行くには飛行機に乗る必要があり、飛行機は費用でもあり日程の制約でもあります。6日間の周遊では吸収できません。
だからこそ行く価値があります。トルコ、イラン、アルメニアと国境を接する自治共和国で、独自の方言、独自の建築、独自の料理をもち、外国人旅行者がほとんどいません。
行き方
アゼルバイジャン航空がバクー〜ナヒチェバン間を国内線として運航しています。飛行時間はおよそ1時間15分です。
現実的な陸路の代替はありません。陸路を選ぶとイラン通過になり、75分の飛行が通過査証つきの2日がかりの移動に変わります。観光でこれをする方はまずいません。
一点、計画に織り込んでおくべきことがあります。この路線は山を越えて谷あいの空港に降りるため、アゼルバイジャン航空は悪天候時に運休し、条件が回復すると再開します。直近では2026年7月7日に再開されました。ナヒチェバンを避ける理由にはなりませんが、ナヒチェバン到着から同日の国際線出発へ乗り継ぐ組み方を避ける理由にはなります。帰路はバクーで1泊挟んでください。
別の査証や許可は必要ありません。ナヒチェバンはアゼルバイジャンであり、この便は国内線です。日本国旅券をお持ちの方の2027年7月1日までの査証免除についてはビザのページにまとめています。
モミネ・ハトゥン廟
この街の象徴であり、美術史の研究者がここまで来る理由です。
1186年にアジャミ・イブン・アブベキル・ナヒチェヴァニが完成させた十角形の煉瓦塔です。アタベク・ジャハン・パフラヴァンが、母モミネ・ハトゥン(シャムスッディーン・エルデニズの妃)のために建てさせました。十の面すべてが、基部から軒まで、トルコ石色の釉薬で描かれた幾何学文様に覆われ、冠部にはクーフィー体の銘文帯が巡ります。
もとの高さは34m。現存は約25mで、上部のテント状のドームは失われています。それでもなお、ナヒチェバン建築派が残したもっとも優れた建築です。なお、ユネスコ世界遺産の登録資産ではなく、アゼルバイジャンの暫定リストに掲載されている段階です。別の説明を目にされることがあるかもしれませんので、あらかじめ書いておきます。
ドゥズダグ
市街から12km、標高約1,173mにある山で、紀元前2千年紀から塩が採掘されてきました。世界最古級の岩塩坑のひとつで、考古学的にも重要な場所です。
訪れた方の記憶に残るのは、もっと新しい部分のほうです。1979年以降、使われなくなった坑道(岩盤の奥110mほどまで続きます)に理学療法施設が置かれています。温度は一定、空気は粉塵がなく塩で飽和しており、患者は数週間滞在して喘息などの呼吸器疾患を治療します。歩いてみると、観光用の洞窟とはまったく違います。地下にある稼働中の医療施設で、廊下があり、ベッドがあり、治療の途中の方がいます。療法そのものについてはドゥズダグ岩塩坑のガイド(英語)に詳しく書いています。
市内のそのほかと、その先
ナヒチェバン・ハーン宮殿は18世紀のハーンの居館です。アーケードをもつ2階建ての煉瓦建築で、修復され、現在はハーン国時代の調度、武具、絨毯を展示する博物館になっています。
ナヒチェバン・ガラ(コフナ・ガラ)は中世の町の城塞を修復したものです。城壁と塔からアラス川の谷とイラン国境の向こうの山並みまで見渡せます。
3泊にできるなら、長い階段を登って岩山の上に至る要塞アリンジャ城と、市外の崖にある巡礼地アシャビ・キャフの洞窟聖所が加えられます。
旅程のなかでの位置づけ
ナヒチェバンは、撮影終了時にバクー・メディア・センターが公表した『VIVANT』シーズン2の撮影8地域のひとつです。そして、本格的な行程と短い行程を分ける場所でもあります。ここへ行くには国内線2区間と2泊が必要で、それが6日間のツアーと10日間のツアーの差のほとんどを占めています。
当社のVIVANT アゼルバイジャン・グランドツアーは、ナヒチェバンを4日目と5日目に置き、往復の国内線と2泊を料金に含めています。それが必要になる距離関係は撮影8地域の地図にまとめました。
関係性の明示
当社(Birtour)はTBS及び番組制作委員会とは一切関係がなく、『VIVANT』のパッケージツアーを販売している旅行会社各社とも関係がありません。バクーに拠点を置くアゼルバイジャンの現地手配会社です。 制作にも関与していません。ここで触れている撮影8地域は、撮影終了時のバクー・メディア・センターの発表にもとづくものです。
- バクーからナヒチェバンへはどうやって行きますか。
- 空路です。本土のアゼルバイジャンからナヒチェバンへ通じる道路はありません。あいだにアルメニア領があるためで、実質的な行き方はアゼルバイジャン航空の国内線、飛行時間およそ1時間15分になります。陸路で行こうとするとイランを通過することになり、75分の移動が通過査証つきの2日がかりの旅程に変わります。往復の便がありますので2泊の滞在は組みやすく、当社の10日間ツアーもその形にしています。
- ナヒチェバンはアゼルバイジャンの一部ですか。別のビザは必要ですか。
- アゼルバイジャンの自治共和国であり、この地域のための別の査証や許可証は必要ありません。アゼルバイジャンに入国できる資格があればそのまま入れますし、バクーからの便は国内線です。日本国旅券をお持ちの方は2027年7月1日まで観光目的の査証が免除されています。アルメニアとの国境は閉鎖されており、国境地帯は自由に歩き回る場所ではありませんが、市内、ドゥズダグ、主要な文化財はごく普通に訪問できる場所です。
- バクー〜ナヒチェバン線の運航は安定していますか。
- 旅程を組める程度には安定していますが、天候の影響を受けます。山を越えて谷あいの空港に降りる路線のため、アゼルバイジャン航空は悪天候時に運休し、回復すると再開します。直近では2026年7月7日に、天候による運休のあと運航が再開されました。ナヒチェバンを避ける理由にはなりませんが、ナヒチェバン到着から同じ日の国際線出発に乗り継ぐ組み方は避けたほうがよい理由にはなります。帰りにバクーで1泊挟んでください。
- モミネ・ハトゥン廟の高さはどれくらいですか。
- 現在は約25m、もとは34mありました。上部のテント状のドームは失われており、残っているのは十角形の煉瓦塔です。基部から軒まで、トルコ石色の釉薬で描いた幾何学文様が絡み合い、冠部にはクーフィー体の銘文帯が巡ります。1186年に建築家アジャミ・イブン・アブベキル・ナヒチェヴァニが完成させ、アタベク・ジャハン・パフラヴァンが母モミネ・ハトゥン(シャムスッディーン・エルデニズの妃)のために建てさせました。ナヒチェバン建築派が残したもっとも優れた建築で、ユネスコ世界遺産の登録資産ではなく、アゼルバイジャンの暫定リストに掲載されています。
- ドゥズダグ岩塩坑とは何ですか。見学できますか。
- ドゥズダグは市街から12km、標高約1,173mにある岩塩の山で、紀元前2千年紀から塩が採掘されてきました。世界最古級の岩塩坑のひとつです。1979年以降、使われなくなった坑道(岩盤の奥110mほどまで続きます)に理学療法施設が置かれ、温度が一定で粉塵のない飽和塩空気のなかで、患者が数週間滞在して喘息などの呼吸器疾患を治療しています。見学は可能ですが、観光用の鍾乳洞のような場所ではありません。地下にある稼働中の医療施設で、廊下とベッドがあり、治療中の方がいます。ですので飛び込みではなく、事前の手配のうえでの訪問になります。
- ナヒチェバンには何日必要ですか。
- 2泊です。丸一日あればモミネ・ハトゥン廟、ハーン宮殿、ナヒチェバン・ガラ、ドゥズダグを無理のない速度で回れます。到着日と出発日は飛行機でほぼ埋まります。1泊でも成立しますが、ドゥズダグを急ぐことになり、そのドゥズダグがいちばん記憶に残る場所です。3泊にすると、市外のアリンジャ城とアシャビ・キャフの洞窟聖所まで足を延ばせます。