『VIVANT』はなぜアゼルバイジャンで、どう撮られたか
解説 · 読了 8 分
『VIVANT』第2シーズンのアゼルバイジャン撮影を、公開情報から再構成します。なぜ同国で撮ったのか、撮影期間、8地域、現地制作支援、2025年8月の運搬車両事故、そして公表されていないことを区別します。
『VIVANT』第2シーズンのアゼルバイジャン撮影は、2025年8月に始まり、10月末まで続きました。現地のプロジェクトパートナーはBaku Media Centerで、同社は組織・技術支援、物流、撮影許可の取得、現地調整を担ったと発表しています。
このページは「現場の裏話」ではありません。当社(Birtour)は制作に関与しておらず、撮影現場にいたかのような話はできません。ここで行うのは、制作パートナー、現地通信社、日本の記名記事、Film Commissionの公開情報を照合し、確認できる制作の仕組みと、まだ公表されていないことを分けることです。
公開情報から確認できること
| 項目 | 確認できる内容 | 情報源 |
|---|---|---|
| 撮影期間 | 2025年8月から10月末 | Baku Media Centerの発表をAZERTAC、Report.az、APAが掲載 |
| 現地パートナー | Baku Media Center | 同上 |
| 担当 | 組織・技術支援、物流、撮影許可、調整 | 同上 |
| 撮影地域 | バクー、スムガイト、ギャンジャ、ナヒチェバン、シャマフ、ガバラ、シェキ、グバ | 同上 |
| 公的協力 | 関係国家機関、地方行政。日本の記名記事は文化省と警察も報告 | Baku Media Center発表、Yahoo!ニュース エキスパート |
| 建物単位の公式一覧 | 公開されていない | 公開発表の範囲から判断 |
同じ発表文が複数の現地媒体に掲載されていますが、これは独立した複数証言ではありません。元はBaku Media Centerによる一つの撮影終了発表です。転載数を証拠の数として数えないことが重要です。
Baku Media Centerは何を担当したのか
Baku Media Centerは、自社をアゼルバイジャンおよび周辺地域で大規模な映像制作を行う会社として紹介しています。『VIVANT』について公表された役割は四つです。
- 組織面の支援:地域と関係機関をまたぐ撮影の調整。
- 技術面の支援:現地制作を成立させる技術的な支援。
- 物流:人員、機材、移動を含む撮影運営。
- 撮影許可と現地調整:撮影場所と行政側の調整。
ここから先を想像で埋めるべきではありません。クルーの人数、使用機材の完全な一覧、場所ごとの撮影日、各許可書の内容は公開発表にありません。
なぜ8地域の撮影には大きな物流が必要なのか
8地域は一つの街の周辺ではありません。バクーからスムガイトは約35kmですが、グバは北へ約170km、ギャンジャは西へ約360km、シェキは北西へ約300kmです。ナヒチェバンは本土から道路でつながっておらず、通常はバクーから国内線で移動します。
つまり8地域の撮影は、同じホテルから毎朝出発する形では成立しません。北側、西側、飛び地という三つの運行単位が必要です。これはBirtourが旅行行程を運行する際にも同じで、8地域を無理なく回ると10日間になる理由です。距離と所要時間は撮影8地域の地図に区間ごとに公開しています。
この段落の距離と旅行上の解釈はBirtourの運行データです。撮影隊がまったく同じ経路や日程を使ったという主張ではありません。
なぜアゼルバイジャンが選ばれたのか
制作側は、「この一つの理由でアゼルバイジャンを選んだ」という公式説明を公表していません。公開情報から確認できるのは、歴史地区、山岳地帯、近代建築を含む8地域で撮影したこと、Baku Media Centerが許可、物流、技術支援、現地調整を担ったこと、国家機関と地方行政が協力したことです。
Azerbaijan Film Commissionは国際制作の誘致を目的に、撮影地の提案、許可、通関、機材、交通などの支援領域を案内しています。この制作基盤と多様な景観が撮影を成立させた条件だったとは言えます。ただし、物語上の意図、費用、税制、個別の誘致条件のどれが最終判断を決めたのかは公表されていません。「景色が似ていたから」「制作費が安かったから」など、一つの理由に絞る説明は確認できない推測です。
撮影開始日に起きた運搬車両事故
2025年8月27日、撮影に必要な衛生設備を運んでいた車両が、アゼルバイジャン国内の山間部の道路から転落しました。TBSが同月29日に公表した内容を伝えた報道によると、車両に乗っていた52歳の運転手が死亡し、48歳の同乗者が腕を骨折して入院しました。二人は現地在住の外国人スタッフと報じられています。
TBSは遺族への弔意と負傷者の回復を願うコメントを出し、現地制作会社を通じて道路状況、天候、運転手の状態などを点検すると説明しました。その後、TBS広報部は、安全対策を整えたうえで8月31日に撮影を再開したと回答しています。
この事故は撮影用設備の運搬中に起きたもので、観光客がロケ地を訪れて起きた事故ではありません。一方で、地方や山間部での移動には道路、天候、視界を含む運行判断が必要だという事実を軽く扱うべきでもありません。当社のツアーの安全性を、この事故だけを根拠に保証したり否定したりすることはしません。
政府協力について何が分かっているか
佐々木正明氏のYahoo!ニュース エキスパート記事は、文化省、地方行政、警察などが全面的に支援したと報じています。Baku Media Centerの発表も、撮影を支援した関係国家機関と地方行政に謝意を示しています。
Azerbaijan Film Commissionは、国際制作を誘致し、制作サービスを効率化することを目的として掲げています。また、撮影地の提案、許可、通関、物流、交通、機材などの支援領域を説明しています。ただし、Film Commissionの一般的な支援メニューを、そのまま『VIVANT』で実施された個別作業だとは書けません。 今回、公表情報から『VIVANT』について直接言えるのはBaku Media Centerの役割です。
8地域と、建物単位のロケ地は別の情報
制作側が公表したのは次の8地域です。
- バクー
- スムガイト
- ギャンジャ
- ナヒチェバン
- シャマフ
- ガバラ
- シェキ
- グバ
一方、ヘイダル・アリエフ国際空港、シルヴァンシャー宮殿、シェキのキャラバンサライ、ゴブスタン、Baku Media Center館内、地下鉄駅、店舗などの建物単位の特定は、記名記事、旅行媒体、ファンDBによる映像照合です。
地域一覧は制作側の事実です。建物一覧は公開された映像からの特定です。どちらも役に立ちますが、証拠の種類が違います。全ロケ地一覧では各行に証拠レベルを付け、エピソード別の記録では誰が特定したかを明記しています。
撮影された場所は現在見学できるのか
場所によって異なります。
| 場所 | 通常の見学 | 注意点 |
|---|---|---|
| シルヴァンシャー宮殿 | 可能 | 有料の博物館・世界遺産 |
| シェキ旧市街・キャラバンサライ | 可能 | 宿泊部分と見学部分を区別 |
| ゴブスタン | 可能 | 保護区の指定ルートを利用 |
| バクー地下鉄 | 乗車可能 | 撮影規則を現地で確認 |
| Baku Media Center | 通常の観光施設ではない | 番組登場は一般公開を意味しない |
| Chaplin Coffee、Bukinist | 営業施設 | 営業時間と撮影可否を確認 |
撮影時の許可は制作会社に対する許可です。同じ場所で旅行者が自由に撮影できるという意味ではありません。
公表されていないこと
現時点で確認できないものも明記しておきます。
- 建物単位の完全な公式ロケ地一覧
- 各場所の撮影日と撮影順
- 場所ごとの許可内容
- 制作費や現地支出額
- クルーと現地スタッフの人数
- 観光客増加のうち、番組だけが生んだ割合
ビザ免除、放送開始、公式ツアー発売も同じ時期に重なっています。今後、日本人旅行者が増えても、すべてを「VIVANT効果」と呼ぶには比較データが必要です。
主な情報源
- AZERTAC「“VIVANT” series filming in Azerbaijan successfully completed with Baku Media Center Support」、2025年11月15日
- Report.azによる同発表の掲載
- Baku Media Center公式サイト
- Azerbaijan Film Commission公式サイト(一般的な支援領域の確認に使用)
- 佐々木正明氏、Yahoo!ニュース エキスパート「VIVANT第2シーズン ①」、2026年7月
- 日刊スポーツ「VIVANT海外ロケで死亡事故」、2025年8月29日(TBS発表全文を確認)
- ENCOUNT「VIVANTが8月31日に撮影再開」、2025年9月2日(TBS広報部への取材回答を確認)
- TBS公式あらすじ・お知らせ(放送情報の確認)
当社(Birtour)はTBS及び番組制作委員会とは一切関係がなく、『VIVANT』のパッケージツアーを販売している旅行会社各社とも関係がありません。バクーに拠点を置くアゼルバイジャンの現地手配会社です。
- VIVANTはなぜアゼルバイジャンで撮影されたのですか。
- 制作側は、同国を選んだ理由を一つの公式説明として公表していません。確認できるのは、歴史的景観と現代建築を持つ8地域で撮影し、Baku Media Centerが許可、物流、現地調整を担い、国家機関と地方行政が協力したことです。景観、制作支援、誘致政策が条件を整えたとは読めますが、どれが決定理由だったかは断定できません。
- VIVANTのアゼルバイジャン撮影はいつ行われましたか。
- Baku Media Centerの撮影終了発表によると、2025年8月に始まり、10月末まで続きました。日本の記名記事では主演陣の現地滞在を約2か月と報じています。
- 現地で撮影を支援した会社はどこですか。
- Baku Media Centerです。同社の発表では、プロジェクトパートナーとして組織・技術支援、物流、撮影許可の取得、現地調整を担いました。Birtourは制作には関与していません。
- 政府は撮影に協力しましたか。
- 日本の記名報道は、文化省、地方行政、警察などが支援したと伝えています。Baku Media Centerの発表も、関係国家機関と地方行政への謝意を表しています。ただし、機関ごとの許可書や支援内容の全一覧は公開されていません。
- 撮影された建物の公式一覧はありますか。
- 公開されている制作側の一覧は8地域名で、建物一覧ではありません。バクー、スムガイト、ギャンジャ、ナヒチェバン、シャマフ、ガバラ、シェキ、グバです。個別の空港、宮殿、店舗の特定は記者、旅行媒体、ファンDBによるものです。
- 撮影場所はすべて見学できますか。
- できません。旧市街や宮殿、ゴブスタンなどは通常の観光施設ですが、Baku Media Centerは稼働中の制作施設です。地下鉄や店舗にも独自の撮影規則があります。番組に映ったことは一般公開や撮影許可を意味しません。
- アゼルバイジャンのVIVANT撮影中に事故はありましたか。
- ありました。TBSが2025年8月29日に公表した内容を伝えた複数の報道によると、同月27日、撮影用の衛生設備を運ぶ車両が山間部の道路から転落し、52歳の運転手が死亡、48歳の同乗者が負傷しました。これは撮影地を訪れた旅行者の事故ではありません。撮影は安全対策の確認後、8月31日に再開したとTBS広報部が説明しています。